【ヴリクシャアサナ・木のポーズ】②
【ある風景】
「先生。やっぱりすぐに倒れてしまいます」
「ん〜。どうやら足の裏でしっかり床(マット)を踏めていないね」
「なんか、足の外側に力が逃げていくというか。ダメですね」
「ダメなことはないよ。まずはしっかり足裏で床を踏むことから練習しましょう」
「はい」
「都会暮らしの現代(いま)の人は足の裏を使うことを忘れていることが多いと思う。気にすることはないよ。ちなみにここバリ島のバリの人たちは小さい時から裸足で暮らして、サンダル履きが主流だから足指が開き大地をしっかり踏んでいる人が多い。なので、こうした立ってバランスをとるポーズは教えなくともできてしまう者がいっぱいいた。だからと言ってバリ人みんながヨガが得意というわけではないけど笑」
「笑💦」
「では。このポーズをとってみて。後ろ手に回した両手で足をつかみバランスをとる」
「💦意外と難しいです」
「いいかい。しっかり前に置いた足、その足裏全体を使って床を踏み込まないと安定しないよ」
「足裏全体💦。踏んでます」
「その踏んでる感覚をおぼえてください」
「はい」
「では次に、股関節を開いて片足で立つ練習をしよう」
「まだあるんですか?木のポーズってそんなに大変なんですか?」
「一見簡単にみえる木のポーズだけど、木のポーズにはいろんな要素がふくまれていて。足裏の使い方、意識の流れ、体幹、お腹の引き込みなど。だから最初のヨガのポーズとして選ばれることが多いのだけれど。ま。その要素を丁寧に教えてくれる先生は少ないかも。はい。できたら終わりってなもんで」
「そうなんですか、、、」
「とにかく股関節を開いて立つことに慣れる。股関節が開くようになれば軸足に足裏をしっかり押し当てることができて効率よく力を伝えることができるようになる」
「はい」
「では、やってみよう
「先生。私まだ股関節がかたくてそこまで開きません」
「そう。気にしなくていいよ。まずはこの姿勢で立つことに慣れること。もちろん軸足は足裏全体でしっかり大地(床)を踏みしめる意識」
「はい。なんだか木のポーズできそうな気がしてきました」
「そうじゃ。最初から完璧を目指すものではなく股関節の開きも体幹の使い方も他のポーズを練習することによってついてくる」
「ヨガのポーズはそのポーズが単独であるのではなく、それぞれのポーズが互いに高めあいながら少しずつ全体のレベルを上げていく。そういう考え方が大切」
【指導時の着目点と注意点】
・足裏全体で床を踏めているかどうか(親指側だけ又は小指側だけで踏んでいないかどうか)
・股関節の開き(真横まで開けばベストだけど他のポーズで股関節の動きは良くなる)
・視線は遠くに(後述します)