【ヴィーラバドラアサナ・戦士のポーズ(1)&⑵】
【ある風景】
「これは(1)のほうね。
骨盤と上体は正面に向けること」
「後ろの脚はしっかり伸ばして床をしっかり踏み込むこと。上体は反らさなくていいよ」
「はい」
「これは⑵だね。
骨盤と上体を側面(写真では左)に向けること」
「上体が前のめりにならないように手と脚は後ろに感じることが大切だよ。
もちろんこのポーズもしっかり後ろの脚を伸ばして床を踏み込むこと」
「はい。
でも先生、(1)も⑵も力が逃げるみたいで強く踏み込むのが難しいです」
「それは足先の向きが悪いんだ。
後ろの足の角度が開いているとうまく力が伝わらないよ。
内側に60度くらいがしっかり力が伝わって踏み込めるんだ」
「これは(1)でも同じだよ」
「はい」
「そして前の足先はしっかり前に向けること」
「こうですね」
「おっと。膝が内側に入ってる。
足先と膝の向きは同じにすること。わかったね」
「でも先生、足先の向きとか顔の向きとか、そんな些細なことはヨガに重要なんですか?」
「うん。それは以前に他の生徒にも言われたことだ。
きっと他の先生はそんな細かいことを指摘しないんだろうけれど僕はとても大切なことだと考えているよ。
手先、足先の向きや顔の向きでポーズの効果は変わってくると思うんだ。
」
手先足先や顔の向きも繊細にしてポーズをとろう、けれども気持ちはおおらかに心地よく
だね。
【指導時の着目点・注意点】
・両足の踏ん張り
・両足の足先の向き
・後ろ脚の伸び
・前脚の膝の向き
【パールシュヴァコーナアサナ「サイドアングルのポーズ」】
【ある風景】
「先生。
私、このポーズ苦手です。
なんだかこの体勢とるのが辛くって」
「どうしても腰の位置が高くなってしまうね。
こうしてぐっと下げると辛いかい?」
「そうです」
「では、こうして肘を膝のあたりにあててポーズをとってみなさい。こんな感じ」
「あ。この方が楽です」
「肘はただ膝に置くだけではなく、しっかり膝を押すようにするんだよ。そうすれば伸ばした方の体側に余裕もできてくる」
「はい」
「もちろんヨガブロックを使っての練習も有効だよ。
大切なのはそのときに伸ばした側の体側(この写真で言えば右側)をまっすぐにするようにして、伸ばした脚や手に伸びやかさを感じるようにそこに心地良さを感じることなんだ」
「心地良さ。ですか」
「そう。
どんなポーズをとっても苦しい部分と心地よい部分があると思うんだけれども、どんなときも苦しい部分にフォーカスせず、いつも気持ちの良い部分を探して気持ちの良い部分に自分の気持ちをフォーカスさせること。
それが大切だ。
その考えはとても大切で。
たとえば初対面の人と会ったときなんかも、その人の欠点よりも長所がよくみえてくる。
それは自分にとってもとても楽になることなんだよ」
「はい。わかりました」
「大切なことは何度でも言うよ。
つらい苦しいところにフォーカスせず
楽しいところ心地よいところにいつもフォーカスすること」
【指導時の着目点・注意点】
・伸ばした側の足脚の伸び、手腕の伸び
・腰の高さ
・顔の向き
・段階的簡易法
・ヨガブロックの使用
【パリヴリッタ・トリコーナアサナ「ひねった三角のポーズ」】
【ある風景】
「三角のポーズはできるようになったかな?」
「はい。こうですね」
「うんうん。良くなったね」
「それでは今日はこれを練習しよう」
「ひねった三角のポーズ」
「はい」
「💦フラフラして倒れてしまいます」
「そうだね。ヨガのどのポーズでもひねったかたちのバリエーションはどれも難易度が上がる。このポーズもきちんと三角のポーズを理解してないと安定してキープできないよ」
「きちんと理解?」
「そう。上体を倒して床に着いた手にしっかり重さがかかってないとフラついてしまうんだ」
「手は床についてるんだけど・・・」
「まだまだ上体を倒して手に重さをかけるのが足りないんだ。しっかり重さをかけれれば上体も楽になり胸も開いて安定するよ」
「そのためには・・・また、そこのヨガブロックを取ってくれ」
「こうして、しっかり手に重さをかける感覚をおぼえるんだ」
「はい💦」
「まだ少しフラフラするなあ」
「いいかい。ヨガのどのポーズにも重心がある。ひねった三角のポーズと先日やった三角のポーズとでは重心の位置が違うんだよ」
「はぁ💦」
「この写真で言えば出した左足と床に着いた右手の間(赤い矢印)が重心の位置だ。そこを感じなさい」
「はい」
ヨガのアサナ(ポーズ)はいつでも自分が今どんなかたちをとっているかをイメージしましょう
それが内観を鍛えることにつながります
参考に
棒を使って練習する写真も添付しておきます
(棒を使ってのヨガについてはあらためて詳しくまとめてアップする予定です)
【指導時の着目点と注意点】
・ひねった三角のポーズで通常の三角のポーズの習熟度をみる
・重心を意識させる
・ヨガブロックの使用
・顔の向きと内観
【トゥリコーナアサナ「三角のポーズ」】
【ある風景】
「あ。猫」
「猫は不思議。人がリラックスしてる時のアルファ波を感知してるみたい。わたしが朝ヨガしてる時も生徒の家(うち)に出かけてそこの家の猫が寄ってきてマットの上でゴロンとなることがほんと多い」
「へ〜。猫ってすごいですね」
「そう。猫は知っているんだ。見えないものこそ重要なんだということを」
「・・・。先生。三角のポーズってこうですよね?」
「ん〜。上体が傾いているね。胸が下を向いている。まずは骨盤から傾いてるから」
「・・・」
「無理に手を下げて床につけようとするとそうなるね。先ずは身体で三角形をかたちづくるイメージが大切。わたしのポーズをみてみて」
「どこに三角形ができとるかわかる?。ここでは3つの三角形ができてるよ」
「わたしは2つしかできません」
「2つでもいいの。例えばアシュタンガヨガだと下げた手指で足の親指を掴むから。それよりも大切なのは自分でつくった三角形。それが歪んでいたりたわんでいたり傾いていないことが大切」
「はい。でも、そうすると下げた手は膝のところまでしか届きません」
「最初はそれでもいいんだよ。届かせようと一生懸命になるのではなく下げた手で床を押すイメージをつくるの。そうすると上半身も使われて肩や胸に余裕ができてくる。そこのヨガブロックを取ってください」
「はい」
「こうして下げた手でヨガブロックを押す練習をする。そして押した時に上半身がどのように余裕ができるのかを観察すること。胸が開いて楽になるはず」
「はい」
「さらにわたしは長い棒を使ってこんな練習もしているよ」
「こんな感じ」
「こうして棒をかかしのように担いでゆっくり倒していく。しっかり両足を踏ん張らないと倒れてしまうから気をつけて。こうすると上半身が固定されて正しい形がイメージしやすいんだ。棒を使うと例えばこのポーズではどこを曲げてどこを伸ばせばいいのかがわかりやすくなる、意識しやすくなる。伸ばすところは伸ばす、曲げるところは曲げる、それが正しいポーズ」
「はい」
「ただ手を床に届かすとかではなくて、身体全体でそのポーズをイメージすることが大事」
「はい。わかりました」
「いいかい。
正しいポーズは美しい
美しいポーズは正しい
ま。わたしは見た目老いぼれジジイだけど」笑
【指導時の着目点と注意点】
・骨盤の傾き
・真横に倒す力
・ヨガブロックの使用
・顔の向き
【ヴリクシャアサナ・木のポーズ】②
【ある風景】
「先生。やっぱりすぐに倒れてしまいます」
「ん〜。どうやら足の裏でしっかり床(マット)を踏めていないね」
「なんか、足の外側に力が逃げていくというか。ダメですね」
「ダメなことはないよ。まずはしっかり足裏で床を踏むことから練習しましょう」
「はい」
「都会暮らしの現代(いま)の人は足の裏を使うことを忘れていることが多いと思う。気にすることはないよ。ちなみにここバリ島のバリの人たちは小さい時から裸足で暮らして、サンダル履きが主流だから足指が開き大地をしっかり踏んでいる人が多い。なので、こうした立ってバランスをとるポーズは教えなくともできてしまう者がいっぱいいた。だからと言ってバリ人みんながヨガが得意というわけではないけど笑」
「笑💦」
「では。このポーズをとってみて。後ろ手に回した両手で足をつかみバランスをとる」
「💦意外と難しいです」
「いいかい。しっかり前に置いた足、その足裏全体を使って床を踏み込まないと安定しないよ」
「足裏全体💦。踏んでます」
「その踏んでる感覚をおぼえてください」
「はい」
「では次に、股関節を開いて片足で立つ練習をしよう」
「まだあるんですか?木のポーズってそんなに大変なんですか?」
「一見簡単にみえる木のポーズだけど、木のポーズにはいろんな要素がふくまれていて。足裏の使い方、意識の流れ、体幹、お腹の引き込みなど。だから最初のヨガのポーズとして選ばれることが多いのだけれど。ま。その要素を丁寧に教えてくれる先生は少ないかも。はい。できたら終わりってなもんで」
「そうなんですか、、、」
「とにかく股関節を開いて立つことに慣れる。股関節が開くようになれば軸足に足裏をしっかり押し当てることができて効率よく力を伝えることができるようになる」
「はい」
「では、やってみよう
「先生。私まだ股関節がかたくてそこまで開きません」
「そう。気にしなくていいよ。まずはこの姿勢で立つことに慣れること。もちろん軸足は足裏全体でしっかり大地(床)を踏みしめる意識」
「はい。なんだか木のポーズできそうな気がしてきました」
「そうじゃ。最初から完璧を目指すものではなく股関節の開きも体幹の使い方も他のポーズを練習することによってついてくる」
「ヨガのポーズはそのポーズが単独であるのではなく、それぞれのポーズが互いに高めあいながら少しずつ全体のレベルを上げていく。そういう考え方が大切」
【指導時の着目点と注意点】
・足裏全体で床を踏めているかどうか(親指側だけ又は小指側だけで踏んでいないかどうか)
・股関節の開き(真横まで開けばベストだけど他のポーズで股関節の動きは良くなる)
・視線は遠くに(後述します)
【ヴリクシャアサナ・木のポーズ】①
【ある風景】
「先生。わたし最初のこのポーズからつまづいてしまって」
「ああ。この木のポーズはヨガ教室とかで最初にやらされるポ ーズのひとつだけど、決して安易なポーズではないよ。脚力のある若者ならば強引にできてしまうものだけど、、、」
「わたし、筋肉もついてないし片足立ちとか難しいです」
「なに。ヨガとは筋力ではないよ。かたちをつくってポーズをまとめる。そうすれば筋力に頼らなくとも長くポーズをキープすることができる」
「・・・」
「ヨガではエネルギーの流れ、意識の流れとも言っていいけれど。そういうものが大事だ」
「この写真で言えば折り曲げた右足の裏を左太ももにしっかり押し当てて上昇する意識・上昇するエネルギーに変える。
そんなイメージ」
「ベクトルみたいなものですか?」
「ほぅ。難しいことを知ってるね。ま。そういうもの」
「エネルギーや意識には強さと向きがあるのですね」
「そうそう。そのエネルギー、意識の流れが身体のなかで向きと強さがちょうどつり合うようにバランスがとれると、この木のポーズも楽々長くキープすることができるよ」
「はい」
「わかったならばやってみましょう。いくら頭でわかっても身体で理解しなければ意味はないし」
「はい」
「ヨガでは目にみえないもの
目に見えないことこそが大切」
【指導時の着目点】
・ポーズは身体全体でとることを理解してもらう(木のポーズは単なる片足立ちではない)
・イメージすることの大切さを理解させる(上昇するエネルギーのイメージ)